本学科は、管理栄養士の養成課程であるため、学生生活の総仕上げ、かつ最大のイベントは、国家試験を受験して合格することになります。今年は、少し早めに5月から国家試験対策を開始しました。管理栄養士の試験は200問出題され60%(120問)以上正解することで合格します。大学入試の様な相対評価(合格者数が決まっている)ではなく、絶対評価(基準をクリアーすれば合格する)ですから、試験で闘うべき相手は「自分自身」です。他者と競う必要がないので、その分プレッシャーは軽減されるのかと思います。
例年、管理栄養士養成校の新卒の合格率は90~95%。100人受験しても10人以上は不合格になっていません。こう考えると更に少し、統計学的に考えれば、気分が楽になるかと思います。しかし、過信していると確実に足元を掬われます。今の時期から苦手分野をあぶりだして、夏場の飛躍の時期に備えて準備を開始して欲しいと思います。
最後に、、、管理栄養士の資格を取得することは、スタートラインに立ったに過ぎません。ここから(資格を得てから)がスタート、つまり勝負になります。コロナ禍で世の中が激変しました。社会構造の変革も起きています。このような中、管理栄養士という資格に今一度、目を向けてみて下さい。
2015年、食品の表示法が変わりアベノミクス成長戦略の一つに機能性表示食品の誕生があります。これは、世界に類を見ない急激な高齢社会化に対応すべく医療費削減の一環として食品(機能性成分)と休息・睡眠、運動によるセルフメディケーションで自分の健康は自分で守って下さいという国からメッセージです。そのために国は食品の情報を消費者に分かり易くする伝えるようにするため、食品の表示方法を変えますよと言っている訳です。そうなると、今後ますます「食」の重要性が増し、考えようによっては大いに管理栄養士の活躍の場が増えてくるかと思います。
また、先に書いたように社会的な変革が起きていますので、「食」を軸として新しいプラットフォームを社会の根付かせて行けば、今までにないヒトと栄養の関わりが誕生してきます。このフロントランナーにいることが出来うる人材が本学科の在校生と言うことになります。「食」は全世界のヒトが行う共通の営みですから、日本社会に留まらず世界に向けても情報発信でき、活躍の場が広がります。また、NPOなどを起業すれば、それこそSNSを使ってインフルエンサーとなり新しい「食」のビジネスも生まれてくる可能性があります。
このように、今後コロナ禍のマイナスばかりに目を向けず、ワクワクする世界が待っているのですから、国家試験如きで躓くわけには行きません。そして、このワクワクを実感出来れば、自分の目的が決まるわけです。そして、目標が明確になれば、その先を達成するために努力しないヒトはいません。結果として試験に合格して資格を自ずと得ることが出来るという訳です。
と、書いて来ましたが、我々、教員が、このようなワクワク感を学生に伝え、学生が自分の意思で将来に向かって行く行動を起こすための知恵を我々が提供出来れば、学生同士でやる気スイッチがONとなり「熱」が伝搬されていくと思っております。
学生諸君は先日、国家試験を受験したいのは「自分」だと言い切ってくれたので、後は迷うことなく進むだけです。でも、たまには息抜きして大学生活最後の年をコロナ禍で社会は混沌としていますが、楽しんで欲しいと思います。
ということで、今年の目標は「合格率100%」です。
記事:大久保 剛(今年度の国家試験対策委員長)
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