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大学生のモノの考え方について

  • t-ohkubo6
  • 8 時間前
  • 読了時間: 4分

 私たちは、与えられた情報をそのまま「事実」として認識してしまうことがある。しかし実際には、その情報の真偽を確かめなければならない場面は多い。また、情報は、どの角度から見るかによって見せる顔が大きく異なることもある。だからこそ、私たちは常に、情報を自分の視点で建設的に疑い、真偽を確かめながら受け止めていく姿勢を求められている。

 2026年4月、アフリカ連合の後押しを受けたトーゴが、国連加盟国に対して、世界地図として長く使われてきたメルカトル図法から、より面積の実態を反映しやすい「Equal Earth(イコール・アース)図法」への転換を促す決議案を準備していると報じられた。

 「なぜ世界地図のことを国連で議論するのか」と感じる人もいるかもしれない。一般には見過ごされがちなテーマであるが、地図に描かれた世界を私たちが無意識のうちに“そのままの現実”として受け取ってしまうことへの問題提起として、この動きは注目に値する。

 そもそも、立体構造、すなわちほぼ球体である地球を、二次元の地図として描こうとすること自体に無理がある。現在、広く普及しているのはメルカトル図法である。この図法では、アフリカのような赤道付近の地域は相対的に小さく見え、グリーンランドや北米、ロシアなどの高緯度地域は相対的に大きく見える。本来、この図法は航海のために角度を保つのに優れた投影法であり、世界全体の面積感覚を伝える用途には必ずしも適していない。これに対し、Equal Earthは、面積をより正確に表すことを重視した投影法として2018年に提案された。

 三次元の世界を二次元に置き換える以上、何かが犠牲になることは避けられない。したがって、地球を描く図法に100点満点のものは存在しえない。どの図法を用いても、地図には必ず何らかの歪みが生じる。形を優先すれば面積が歪み、面積を優先すれば形や距離が歪む。つまり、問題は「完全に正しい地図」を探すことではなく、「何を重視して世界を表すのか」という価値判断にある。

 しかし、私たちは学校の壁に掲げられた地図やニュース、インターネット上で見る地図を通して、知らず知らずのうちに一つの世界観を刷り込まれている。たとえば、メルカトル図法で育つと、アフリカ諸国が主張するように、「思ったよりアフリカは小さい」「アフリカとグリーンランドは同じくらいの大きさなのだ」と感じてしまうかもしれない。けれども実際には、アフリカの面積はグリーンランドの14倍ほどある。

 この点を踏まえると、トーゴやアフリカ連合の主張は、単なる地図記号の問題にとどまらない。むしろ、表象の偏りが長年にわたる認識の偏りを支えてきたのではないか、という問いかけとして受け止めることができる。

 この問題が示唆しているのは、地図をめぐる議論が、そのまま知の政治性にも通じているということである。私たちは、数字や図表や地図を、しばしば中立なものとして扱う。しかし実際には、どの尺度を選ぶのか、どの形式で示すのか、何を中心に置くのかによって、受け手の認識は静かに方向づけられる。地図とは、世界の説明装置であると同時に、世界の序列化装置にもなりうる。そう考えると、今回の動きは、単に「地図を変えよう」という提案以上の意味を持っている。

 今回のトーゴやアフリカ連合の動きは、知の成熟を問う試みの一つのようにも思われる。長く当然視されてきた世界の見せ方を見直すことは、従属と支配、中心と周縁といった歴史的な関係性をあらためて問い直す契機にもなりうるからである。仮にこの問題が国際社会において本格的な議題となれば、各国がどのような態度を示すのかは、自国の利益を優先するのか、それともより公平で成熟した知のあり方を受け入れようとするのかを映し出す一つの指標になるかもしれない。そうした意味で、この動きは、世界が公平・公正とは何かを考える一歩にもなりうる。

 そして今回のニュースは、地図に限らず、私たちの身の回りにも「見えているようで、実は歪んで見えているもの」が数多くあるのではないか、ということを考えさせる。統計、偏差値、ランキング、メディアの見出し、SNSのトレンド。どれも現実の一断面を映してはいるが、それが本質を十分に捉えているとは限らない。表現形式が変われば、世界の輪郭もまた違って見えてくる。だからこそ、私たちは情報を受け取るたびに、「これは何を正確に示していて、何を見えにくくしているのか」と問い返す必要がある。

 今あらためて、Critical Thinking の重要性を強く感じる。

 大学生は高校生とは違います。この四年間は国家資格取得に向けた勉強と並行して、思考回路のギアを一段上げる、重要なモラトリアム期間なのではないでしょうか。


   イコールアース図法の地図           メルカトル図法の地図


                                 文責:大久保 剛

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